クマと法律 — 鳥獣保護法・狩猟法・銃刀法の基礎 — 記事ヒーロー画像
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公開: 2026年5月9日更新: 2026年10月30日約 5 分

結論: クマは鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 (鳥獣保護管理法)で保護対象でありながら、有害駆除・狩猟も認められる対象です。 スプレー所持・捕獲・駆除要請・狩猟解禁の関係を整理します。 重要なルール: 個人がクマを「捕まえる」「殺す」ことは原則違法。 防衛のための撃退と、許可を得た駆除は別物です。

3行でわかる
  • クマは鳥獣保護管理法で保護対象でありながら、有害駆除・狩猟も認められる。
  • 個人がクマを「捕まえる・殺す」ことは原則違法。
  • 防衛のための撃退と、許可を得た駆除は別物。
この記事の目次(全 8 項目)

クマに関わる主な法律

日本でクマと関わる場面で参照すべき法律は主に 4 つあります。

  • 鳥獣保護管理法: クマの捕獲・殺傷・運搬等を規制。中心となる法律。
  • 狩猟のルール (旧狩猟法の内容は現在の鳥獣保護管理法に引き継がれている): 猟期・狩猟鳥獣・狩猟免許を規定。
  • 銃刀法 (銃砲刀剣類所持等取締法): 銃器・刀剣の所持を規制。
  • 火薬類取締法: 爆音器・花火など、音による撃退装備の一部を規制。

この他、自治体ごとの「鳥獣被害防止計画」や「特定鳥獣保護管理計画」が、 個体数管理・捕獲枠・駆除手続きを定めています。

鳥獣保護管理法 — 基本の枠組み

鳥獣保護管理法はクマを含む野生鳥獣の捕獲・殺傷を原則禁止しています。 違反すると 1 年以下の拘禁刑または 100 万円以下の罰金が科される可能性があります。

  • 原則禁止: 個人が許可なく捕獲・殺傷してはならない。 素手・罠・銃のいずれでも、防衛以外の目的では違法。
  • 例外 1: 狩猟者による猟期内の捕獲: 狩猟免許を持つ人が、定められた猟期に、対象獣 (ツキノワグマ・ヒグマ) を、 所定の方法で捕獲する場合は合法。
  • 例外 2: 有害鳥獣捕獲 (有害駆除): 自治体の許可を受けて、農林業被害・人身被害防止のために捕獲する場合。 実際は猟友会・委託業者が実施します。
  • 例外 3: 学術研究捕獲: 研究目的の許可申請を経た場合。
  • 例外 4: 緊急銃猟 (2025 年 9 月 1 日施行): 人の日常生活圏に侵入したクマ・イノシシについて、 (1) 日常生活圏に侵入している (おそれが大きい場合を含む)、 (2) 人命・身体への危害を防ぐため緊急の対応が必要、 (3) 銃猟以外の方法では的確・迅速な捕獲が困難、 (4) 住民などに銃猟による危害を及ぼすおそれがない、 の 4 要件を満たすとき、市町村長の判断で市町村が委託した者などが銃猟できる制度です。

紀伊半島や四国山地のツキノワグマは、環境省レッドリストで「絶滅のおそれのある地域個体群」とされている点も重要で、 こうした地域では保護の優先度が高くなっています (ツキノワグマとヒグマの違い)。

狩猟法と猟期

狩猟期間は通常 11 月 15 日〜翌 2 月 15 日 (北海道は別)。 クマを狩猟対象として獲るには、

  • 使う猟法に応じた狩猟免許 (銃猟・わな猟など)
  • 都道府県の狩猟者登録
  • 狩猟税の納付

が必要です。猟期外の捕獲は前述の有害駆除許可がないと違法になります。 山菜採り・登山者は猟期に山に入る場合は明るい色の服装を、 誤射防止のため必ず着用してください。

銃刀法とクマ撃退装備

銃刀法は銃と刀剣の所持を厳格に規制しています。 クマ撃退の文脈で関係するのは次の通り。

  • 散弾銃・ライフル銃: 所持には公安委員会の許可が必要。狩猟・有害駆除の文脈以外で携行できない。
  • ナイフ: 刃長 6cm を超える刃物の携帯は正当な理由 (登山・調理用途等) が必要。 護身用は正当な理由になりません。
  • スタンガン・電気ショック装備: 銃刀法対象外ですが、軽犯罪法の対象になる可能性。クマ対策には実用性も低い。

詳しくはクマ撃退の現実的な選択肢を参照。

クマよけスプレーの法的扱い

クマよけスプレーは銃刀法の対象外で、購入に免許や許可は要りません。 山に入るなど正当な目的があれば携行できます。ただし注意点があります。

  • 催涙スプレーと法的に類似だが、目的が「対クマ」であれば正当: 人に向けて使えば暴行罪・傷害罪に問われる可能性があります。 また、理由なく街中で持ち歩くと軽犯罪法に触れるおそれがあります。
  • 航空機への持込不可: 国内・国際線とも預入・機内持込いずれも禁止。空港で没収されます。
  • 鉄道・宅配便は事業者ごとに条件がある: スプレー缶は危険物として扱われることがあるため、 持ち込み・発送の可否は各事業者に確認してください。

実用上の使い方はクマよけスプレーの使い方と選び方。

防衛時の正当行為

クマに襲われた・襲われそうな状況で反撃した結果クマを死傷させた場合、 刑法 37 条 (緊急避難) などにより違法性が阻却され得ると考えられています (動物による危難には、一般に正当防衛ではなく緊急避難が当てはまるとされます)。

  • 緊急避難の要件: (1) 生命・身体などに対する現在の危難がある、 (2) 危難を避けるためやむを得ずにした行為である、 (3) 生じた害が避けようとした害を超えない。
  • やむを得ない範囲にとどめる: スプレー噴射、棒で叩くなど身を守るための手段であれば認められやすいと考えられます。 ただし「逃げ去ろうとするクマを追いかけて殺す」行為は違法になり得ます。
  • 速やかな自治体・警察への連絡: 結果として死傷させた場合、必ず通報。事後処理を勝手に行わない。

目撃・被害時の通報先

  • 人身被害・即時の危険: 110 番通報 / 119 番救急。先に救命を優先。
  • 市街地・通学路での目撃: 距離にかかわらず 110 番。あわせて市町村の鳥獣担当課へ。
  • 山中・登山道での目撃: 下山後に最寄りの自治体へ。 くまウォッチの投稿フォームでも共有可能。
  • 自治体の防災メール登録: 目撃情報がリアルタイムで届きます。クマ対策として最も実効的な情報源の一つ。

よくある質問

Q.罠を仕掛けて自分の畑に入るクマを捕まえてもいい?
A.個人が許可なく罠でクマを捕獲するのは鳥獣保護管理法違反です。 電気柵などの「侵入を防ぐ」物理障壁は合法ですが、 罠 (くくり罠・箱罠) の使用には狩猟免許と捕獲許可が必要。 農林業被害なら自治体に相談して有害駆除の手続きを依頼してください。
Q.登山でナイフを携行するのは違法?
A.刃長 6cm 以下の折りたたみナイフを登山・調理目的で携行するのは合法です。 それを超える刃物でも「登山・キャンプの正当な目的」があれば問題なし。 ただし「クマ撃退用」とだけ言うと正当な理由として弱いので、 日常的に登山で使う実用的な使途を伴うのが安全です。
Q.クマよけスプレーは誰でも買える?
A.アウトドアショップ・通販で購入でき、免許や許可は不要です (販売店によっては年齢確認があります)。 ただし飛行機へは持込・預入とも不可で、鉄道・宅配便は事業者ごとに条件があります。
Q.猟友会に駆除を頼むには?
A.クマの捕獲には許可が必要なため、まずは市町村の鳥獣担当課に相談するのが基本です。 被害状況を伝えると、自治体が猟友会・委託業者に依頼します。 被害写真・目撃日時・場所をまとめて連絡するとスムーズです。

2026 年 10 月 30 日 改訂:内容を出典と照らし合わせ、事実と異なっていた記述を修正しました。


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この記事はくまウォッチ編集部が執筆しました。実際のクマ対策にあたっては、各自治体の最新情報・専門家の指示・現地ガイドの判断にも従ってください。