Photo by Cuvii on Unsplash

公開: 2026年4月29日

結論: 北海道のヒグマは個体数 1.2 万頭、全道域に分布。 本州のツキノワグマと比べて体格が 3〜4 倍、攻撃性も高く、対処法も異なります。 近年は札幌・旭川など都市近郊への出没も増えており、通勤・通学・観光のいずれでも基本知識が必要です。

エゾヒグマとは

北海道に生息するヒグマは正式には「エゾヒグマ」と呼ばれ、ロシア・サハリンのヒグマと同種です。 日本最大の陸上哺乳類で、オス成獣の体重は 150〜400kg、体長 2.0〜2.3m に達します。 立ち上がると 2.5m を超え、人間の身長を圧倒します。

本州・四国のツキノワグマ (体重 80〜120kg) と比べて、サイズも攻撃性も「別物」と考えてください。詳細は ツキノワグマとヒグマの違い

個体数と分布の現状

北海道環境局・道立総合研究機構の推計によれば、エゾヒグマの個体数は 2020 年時点で約 1.2 万頭。 1990 年代の倍以上に増加しています。

  • 分布: 北海道全域 (人口集中地区も例外でない)
  • 密度が高い: 道東 (知床・羅臼)、道北 (天塩)、日高山脈、大雪山系
  • 密度が低めだが出没増加: 札幌郊外、旭川郊外、函館近郊
  • 人身被害: 年 5〜15 件で推移、近年は増加傾向

都市近郊への出没

2010 年代以降、札幌・旭川・函館などの大都市近郊への出没が顕著に増えています。

  • 2021 年 6 月の札幌東区市街地出没事件 (4 名負傷) は記憶に新しい
  • 住宅街・公園・大学キャンパスでの目撃
  • 河川を伝って市街地に進入するルートが特定されている
  • 子グマを連れた母グマの市街地侵入も

「都市部だから安全」とは言えない時代になっています。札幌市民でも通勤・散歩でヒグマに遭遇する可能性があります。

ヒグマの襲撃パターン

ヒグマの襲撃には大きく 2 つのパターンがあります。

  • 防衛襲撃: 子グマや餌の防御目的。最も多いパターン。「動かないフリ」が有効
  • 捕食襲撃: 人間を食料として襲う。福岡大ワンゲル事件 (1970)、三毛別事件 (1915) などが該当。反撃必須

判別が難しいため、初手は「動かないフリ」、それで効果がなければ反撃に切り替える判断が必要です。 歴史的事件は 過去の重大事故から学ぶ を参照。

北海道で特に注意するエリア

  • 知床半島: ヒグマ密度が世界有数。観光・トレッキングで遭遇率高い
  • 大雪山系・十勝岳: 登山者の遭遇報告多数
  • 日高山脈: 福岡大ワンゲル事件の現場。今もヒグマ集中エリア
  • 札幌南区・西区の郊外: 河川沿いに市街地進入
  • 旭川郊外・神居古潭: 山と市街地の境界
  • 道東 (羅臼・標津・別海): サケ漁の時期に活発化

観光・登山での備え

  • クマよけスプレーは登山口でレンタル or 購入 (本州から空輸不可)
  • 知床のクルーズ・トレッキングはガイド付きツアーを推奨
  • キャンプ場での食料管理は本州以上に厳しく (キャンプ場のクマ対策)
  • ホテル・ロッジでも生ゴミ・コンポスト管理が重要
  • レンタカー利用時は車外駐車中の食料放置 NG

ツキノワグマとの対処の違い

本州での経験は北海道では一部しか通用しません。

  • 体格差で抵抗が困難: 本州ではナイフ・ストックでの最終抵抗があり得たが、ヒグマでは体力差が大きすぎる
  • 捕食襲撃の比率が高い: ツキノワグマでは稀、ヒグマでは現実的なリスク
  • 「動かないフリ」が万能ではない: 捕食襲撃なら反撃必須
  • クマよけスプレーの重要度が極めて高い: 本州よりも携行率を上げるべき

よくある質問

Q.札幌に住んでいるが、ヒグマと遭う可能性はある?
A.あります。南区・西区・手稲区の山際や河川沿いでは目撃情報が定期的に出ます。出勤前や日課の散歩時間にも注意し、早朝・夕方の薄暗い時間帯は警戒度を上げてください。
Q.知床観光ではどのくらい警戒すべき?
A.ヒグマ密度が世界トップクラスのエリアです。観光客向けトレッキングは原則ガイド同行で、ガイド無しでの単独登山は推奨されません。クルーズ船での海上観察は安全な選択肢です。
Q.本州でのクマ対策の知識は北海道で通用する?
A.予防策 (鈴・スプレー・出没情報確認) は基本的に通用します。ただし遭遇後の対処はツキノワグマと違う部分があり、特に「捕食襲撃の場合は反撃が必要」という点は重要な違いです。
Q.ヒグマの個体数は今後どうなる?
A.現状の管理 (狩猟・捕獲) を続けても、当面は緩やかな増加が続くと予測されています。生息環境の改善・人里との棲み分けの徹底が重要で、地域住民・観光客双方の意識改革が必要です。

関連記事

すべての記事を見る →


この記事は KumaWatch 編集部が執筆しました。実際のクマ対策にあたっては、各自治体の最新情報・専門家の指示・現地ガイドの判断にも従ってください。