週次レポート対象期間: 2026年10月5日〜2026年10月12日·公開: 2026-10-13·研究・知見トップへ
都道府県別の出没件数2026年10月5日〜2026年10月12日
北海道
109
宮城県
59
栃木県
53
山口県
50
兵庫県
44
福井県
38
京都府
34
島根県
25

ほか 24 県で計 255 件

期間内の合計 667 件(KumaWatch 収集データに基づく集計・単位: 件)

本レポートは、2026年10月5日から10月12日までの1週間にKumaWatch(獣医工学ラボ)へ集約された計667件のクマ目撃・痕跡・捕獲・被害情報を対象に、野生動物管理の視点から分析・整理を行ったものである。今期は秋季の採食行動が活発化する時期にあたり、上位都道府県では北海道(109件)、宮城県(59件)、栃木県(53件)、山口県(50件)、兵庫県(44件)を中心に全国的な出没が高水準を維持した。特に今期は、住宅敷地内での人身被害、自治体における緊急銃猟の初適用事例、さらにこれまで出没が極めて稀であった地域での確認など、危機管理上の重要な転換点となる事案が重なった。

主要トピック

1. 愛知県豊田市における住宅周辺での連続人身被害

今期最も警戒すべき事象として、愛知県豊田市における人身被害の連続発生が挙げられる。豊田市小原地区(小原北町広畑)では10月11日、自宅前および玄関先で59歳男性を含む住民がツキノワグマに襲われ、重傷を負う事案が発生した(※1、※2、※3)。さらに翌10月12日にも同市内の住宅において男性がクマに襲われ負傷する事案が報告された(※4)。豊田市内では10月5日時点ですでに今年度の出没情報が43件に達し、前年度同時期の約1.5倍に急増していたことが報じられており(※5)、集落内および住居至近距離への執拗な接近が重大な人身事故へと直結した形である。中山間地域と住宅地が隣接するエリアにおいて、クマの警戒心が低下し、生活空間へ侵入するリスクが顕在化している。

2. 近畿・中国地方における緊急銃猟の相次ぐ発令と適用

市街地や生活道路、農地周辺における安全確保を目的とした「緊急銃猟」の適用事例が複数地域で確認された。兵庫県丹波市では10月9日、住宅街に出没したツキノワグマ(体重7kg)に対し県内初となる緊急銃猟が実施され、殺処分された(※6)。丹波市では10月12日にも氷上町で緊急銃猟が実施されている(※7)。また兵庫県豊岡市においても、10月10日に柿の木に登った個体に対して緊急銃猟が行われたほか(※8)、10月11日(民家近く)、10月12日(但東町)と連日にわたり緊急銃猟による対応が取られた(※9、※7)。和歌山県古座川町でも10月6日、生活道路脇のわなにかかり暴れていた個体に対し、連続する人への被害リスクを考慮して県内初の緊急銃猟が実施された(※10)。広島県広島市安佐北区においても10月11日、畑の箱わなにかかった個体に対して緊急銃猟による駆除が行われており(※11)、従来の通常捕獲では対応困難な緊急事態に対し、発砲による迅速な排除措置を選択する自治体の判断が際立った。

3. 奈良県明日香村での初出没と駆除

奈良県明日香村では10月10日、村内で初となるツキノワグマの出没が確認され、人的被害はなかったものの県により殺処分が行われた(※12)。翌10月11日にも捕獲情報が記録され(※13)、10月12日には目撃の相次ぎが報じられている(※7)。紀伊半島南部とは異なり、奈良盆地南東部の歴史的風土保存エリアである明日香村での出没・確認は極めて異例であり、ツキノワグマの行動圏拡大や分散個体の長距離移動を示唆する重要な事象である。

4. 都市公園・学校周辺・市街地への侵入事案

今期は「都市部」キーワードに合致する事案が24件集計されており、教育施設や都市公園、市街地幹線への侵入が全国で相次いだ。北海道函館市では10月7日、中学校至近の交差点において新聞配達員が体長約1メートルのヒグマを目撃した(※14、※15)。宮城県気仙沼市では10月9日に小学校周辺で目撃された後、10月11日には市街地でも目撃が発生した(※16、※17)。栃木県佐野市では10月10日に秋山川・堀米町の市街地で目撃されたほか、10月11日には山越町の一般住宅敷地内で3頭が同時に目撃されている(※18、※19)。新潟県魚沼市の月岡公園では10月7日から8日にかけて花畑周辺等で成獣の目撃があり(※20、※21)、長野県長野市でも10月5日に地附山公園付近の住宅地至近で目撃され、公園が臨時休園措置をとる事態となった(※22、※23)。

地域別動向と上位ホットスポット

今期集計された総件数667件の上位自治体および地域区分における動向は以下の通りである。北海道が109件と全体の約16%を占めて最多であり、函館市など道南・道央・道北(士別市、中頓別町、厚沢部町等)にわたる広域で目撃・捕獲が継続した。東北地方では宮城県が59件と最多で、気仙沼市や富谷市、南三陸町、大和町など沿岸部から仙台近郊まで広く分布している。岩手県(22件)では盛岡市の県立博物館駐車場や住宅地(高松四丁目、上田松屋敷)周辺への侵入が確認された(※24、※25)。関東地方では栃木県が53件を記録し、佐野市の平地部・住宅街での複数頭出没が目立つ。西日本・近畿・中国地方では山口県が50件(周南市でのイノシシ用箱わなへの錯誤捕獲等)、兵庫県が44件、福井県が38件、京都府が34件(福知山市、宮津市、京都市北区等)、島根県が25件(益田市、雲南市等)、和歌山県が24件(日高川町、田辺市、紀の川市等)と、局地的な集中が顕著であった。

注目事案の時系列整理

人身被害、緊急銃猟、特異捕獲、市街地出没に関する主要事案を時系列で整理する。

発生日都道府県・市町村事案区分事案概要関連事由
10月5日愛知県豊田市出没急増住宅敷地内に出没、今年度43件で前年比1.5倍人的生活圏侵入の予兆(※5)
10月5日長野県長野市都市部出没地附山公園付近の住宅至近で成獣目撃、公園休園住民避難・施設閉鎖(※22)
10月5日長野県中野市特異駆除8年間被害を出した個体「YN15」を警察官対峙の末射殺執着個体の駆除(※26)
10月6日和歌山県古座川町緊急銃猟生活道路脇のわなで暴れる個体に県内初の緊急銃猟人身被害防止(※10)
10月7日北海道函館市都市部出没中学校近くの交差点で体長1mのヒグマを目撃通学路警戒(※14、※15)
10月8日新潟県魚沼市都市部出没月岡公園内で体長約1mのクマを目撃公園利用者の安全確保(※20、※21)
10月9日兵庫県丹波市緊急銃猟住宅街に出没した個体(体重7kg)に県内初の緊急銃猟適用市街地侵入対応(※6)
10月10日兵庫県豊岡市緊急銃猟柿の木に登った個体を緊急銃猟により捕獲誘引木排除・安全確保(※8)
10月10日奈良県明日香村特異出没明日香村で初出没確認、人的被害なしも殺処分分布辺縁部での初確認(※12)
10月10日栃木県佐野市都市部出没堀米町・秋山川の市街地でクマを目撃河川敷経由の侵入(※18)
10月11日愛知県豊田市人身被害小原地区(小原北町広畑)の自宅前・玄関先で住民負傷住宅敷地での襲撃(※1、※2、※3)
10月11日広島県広島市緊急銃猟安佐北区の畑で箱わなにかかった個体を緊急銃猟で駆除農地周辺安全確保(※11)
10月11日兵庫県豊岡市緊急銃猟民家近くでツキノワグマ発見、緊急銃猟を実施民家至近での対応(※9)
10月11日栃木県佐野市都市部出没山越町の一般住宅敷地内で3頭同時に目撃複数頭による浸透(※19)
10月12日愛知県豊田市人身被害住宅で男性がクマに襲われ負傷2日連続の人身事故(※4)
10月12日兵庫県丹波市・豊岡市緊急銃猟氷上町および但東町で緊急銃猟を相次ぎ実施広域的な緊急対応(※7)

週次評価

今期のデータ全体から読み取れる最大の特徴は、堅果類の採食を目的とした活動活発化に伴い、山林境界線を越えて人間の生活圏深くへ侵入する事案が定常化している点である。期間中に発生した人身被害4件のうち愛知県豊田市で複数発生した事案はいずれも住宅敷地内や玄関先であり、通常の山間部での偶発的遭遇とは異なり、集落環境そのものがクマの採食・探索ルートに組み込まれている危険性を示している。

また、兵庫県や和歌山県における緊急銃猟の相次ぐ適用は、市街地や生活道路脇において麻酔銃や箱わなによる対応が時間的・空間的に不可能な状況が増加していることを物語る。豊岡市の事例に見られるように、放置された柿の実などの人工的誘引物がクマを市街地近郊へ引き寄せる要因として依然として強く作用している。

次週に向けた警戒・管理ポイント

  • 住宅地・集落内における誘引物の徹底排除: 柿、クリなどの未収穫果樹の速やかな伐採または収穫、生ごみやペットフードの屋外放置防止を集落ぐるみで徹底すること。
  • 出没多発地域における早朝・薄暮時の行動注意: 愛知県豊田市や栃木県佐野市などの住宅敷地内出没地域では、ゴミ出しや散歩、農作業時の鈴・ラジオ携行、周囲の目視確認を義務づけること。
  • 通学路・都市公園のパトロール強化: 学校敷地周辺や公園(函館市、気仙沼市、魚沼市、長野市等の事例)での警戒態勢を継続し、出没時の迅速な休園・集団下校体制を維持すること。
  • 緊急銃猟および捕獲体制の安全管理: 生活圏近接場所での銃器使用に際し、バックストップの確保や住民避難誘導など、警察および猟友会との連携手順を再確認すること。

参考文献

  1. 玄関先で男性がクマに襲われ重傷 — news
  2. 自宅前で59歳男性が襲われ負傷 — news
  3. 住民がツキノワグマに攻撃され負傷 — aichi-toyota
  4. 住宅で男性がクマに襲われ負傷 — news
  5. 豊田市の住宅敷地内にクマ…今年度の出没情報43件 昨年度同時期の約1.5倍に — CBCテレビ
  6. ツキノワグマに県内初の「緊急銃猟」 体重7キロ、殺処分 丹波 — 神戸新聞NEXT
  7. クマの目撃相次ぐ、緊急銃猟実施 — news
  8. 柿の木にクマ、緊急銃猟で捕獲 — news
  9. 民家近くでツキノワグマ発見、緊急銃猟 — news
  10. 生活道路の脇でわなにかかり暴れるクマ…和歌山県で初の緊急銃猟、連続する人への被害受け — 産経新聞
  11. 畑で箱わなにかかり緊急銃猟で駆除 — news
  12. 奈良県明日香村でツキノワグマが初めて出没 県が殺処分 人的被害なしも注意呼びかけ — Infoseek
  13. ツキノワグマ捕獲 — news
  14. 中学校近くの交差点にクマ出没 — news
  15. 【ヒグマ速報】中学校のすぐ近くの交差点にクマ出没_車で走行中の新聞配達員が目撃_体長1メートルほど_警察が注意呼びかけ〈北海道函館市〉 — Yahoo!ニュース
  16. 小学校近くでクマ目撃 — news
  17. 市街地でクマ目撃 — news
  18. 市街地でクマ目撃(佐野市堀米町・秋山川) — news
  19. 住宅敷地でクマ3頭目撃(佐野市山越町) — news
  20. 公園でクマ1頭を目撃(魚沼市) — news
  21. 月岡公園でクマ目撃情報 — news
  22. クマを目撃「こんな住宅近くで信じられない」 公園付近で成獣とみられる1頭 パトロールも発見に至らず 公園は臨時休園 注意を呼びかける 長野市 — NBS長野放送
  23. 公園付近でクマ目撃(長野市) — news
  24. 【クマの目撃情報】岩手県立博物館の駐車場に親子とみられるクマ2頭 岩手県盛岡市 — Yahoo!ニュース
  25. 盛岡市上田松屋敷でクマ出没 — news
  26. クマ「YN15」か 通称「プリンちゃん」ようやく駆除 被害8年、追い続けてきた個体 — news
  27. (秋田)秋田市千秋公園でクマ出没の可能性 10月6日 — dメニューニュース
  28. 由利本荘市岩城内道川の県道にクマ 体長は約1メートル 県消防学校から400メートルほど 6日 秋田 — dメニューニュース
  29. 埼玉・小鹿野町でクマ1頭の目撃情報 県警が注意呼びかけ 「身の安全を最優先に」 — ABEMA TIMES
  30. 相模原市緑区中沢でクマ出没 10月6日 — dメニューニュース

監修・編集
執筆
AI(大規模言語モデル)による情報集約
監修
獣医工学ラボ(リサーチコーディネート株式会社)
対象期間
2026年10月5日〜2026年10月12日
公開日
2026-10-13
最終更新
2026-10-13
データ範囲
KumaWatch sightings.json (内部集計データのみ)

本記事は、KumaWatch が収集した出没データを LLM が分析・文章化した内容を、獣医工学ラボの獣医師が確認・編集の上で公開しています。事実関係に誤りを発見された場合は contact@research-coordinate.co.jp までご連絡ください。